「英国生活骨董 KATY'S HAYAMA 便り」

父の思い出


毎年やってくる5月5日。13年前に私の父が亡くなった日。そしてその翌年には夫の父が同じ日に亡くなりました。奇遇にも二人とも大正5年生まれの辰年でした。

母の死後、私の通いのお世話で2年間を横浜で一人暮らし。その後こちら葉山のライフコミューンという老人ホームに移ってきました。それから5年程静かな日々を暮し、天国に旅立ちました。

若い頃からこれといった病気もなく、70歳まで公務員として楽しい仕事に恵まれて働き、その後も好きな庭いじりやら、町内会のお役をしながらの日々。

亡くなる年の2月に92歳になり、少しだけ体調悪いかなと思っていたら、夜中に呼び出しがあり、転んだとの事。我が家から車で5分ほどのホームなので急いで行き、救急車に同乗。

その日はCCUにひとまず入ったものの、翌日に退院。帰り際に花ノ木公園のつつじを見て、綺麗だと喜び、ホームでの普通の生活に復帰。その時は一安心だったのですが...

数日後、少しづつ呼吸が苦しくなり、病院に連れて行こうかしらと思っていたら、急に悪くなったらしく、

*父が20代の頃から使っていたコッパ―ケットル

渋谷のクラスからの帰りの電車に電話が入りました。逗子駅に夫が待ち、そのままライフコミューンに直行。救急車に乗り込み病院に向かいました。 息が苦しそうで救急車の中で大きな声をあげていましたが、病院に着くと落ち着き、低体温症とやらで入院がきまり、私は深夜に家に戻りました。

次の日、病院に行くと、声のない声で「悪いな~」と一言。あとは眠ってしまいました。その日から1週間、酸素を付けての昏睡状態となり、たまに目を開けて私を見ている様な、そうでない様な。

入院1週間目5月5日、外はいつもにない程の大嵐の午後に静かに息を引き取りました。悲しい気持ちは勿論ですが、苦しむ事なく、無事に、天国に送る事が出来た事に感謝の気持ちでした。

家に帰ったり、泊まったりの1週間の付き添い病院生活の間、父の寝顔を見ながら色々な事を考え、思い出しました。

子供の頃の学校行事に、出不精な母はいつも父を参加させていました。みんなはお母さんが来ているのにうちはお父さん...お父さん子の私には嬉しい事でした。

めったに怒る事はないのですが、食事中に父の象牙の箸で叩かれると痛かった。怒りん坊な母がぶつぶつと私を怒りだすと、必ず助け舟を出してくれる父は優しい人でした。

特別何も親孝行は出来ませんでしたが、母が亡くなってからの日々をずっと父に寄り添えた事は父にとっても幸せだったと思うし、私も父に対して後悔のない年月だったと思います。

一つだけ心残りは父ともっと話をしておきたかったという事です。父が何を好み、何を信じ、何を楽しく思って暮らしていたのかを本人の口からきく事が出来たら良かったのですが、そう思った時には父はもういませんでした。

一人っ子で勝手な事を言う私のわがままを目を細めて喜び、育ててくれた父に感謝。近所でも評判のお父ちゃん子の私を大事にしてくれてありがとう!

5月5日になるといつもそんな風に思います。何のお返しも出来なかったけれど父が一番喜んで、愛おしんでくれたのは一人孫のルーシー。彼女を孫として授かった事を心から喜んでくれていました。

90歳を過ぎて物忘れが激しくなっても私が夕方やって来る事を忘れずに待っていてくれた父。こぼれんばかりの笑顔で迎えてくれた父。あなたは私の「サリーちゃんのパパ」でした。!!!???


-お勧めインフォメーション-


*ルウシイのインスタグラム
大きいけどミニケイティー。2代目を宜しくお願い致します。







 

◆ 編集後記 ◆

先日、肺炎球菌ワクチン接種に夫と二人で行ってきました。普段ですと、絶対注射には行かない夫ですが、この度は別物。次はコロナのワクチンをと二人して心待ちにしているのですが、どうも葉山町は該当するシニアの数とワクチンの割り当て数のバランスが良くないらしく、まだまだ順番が回ってこない様子にがっかり! 英国買い付けに行かれる日はいつになるのでしょうね!...今号、466号のメールマガジンがスタートしたのは2003年の今頃。キャ!18年も経ったなんて、私も大人(?)になる訳だわね。最初の頃は米軍基地の仕事と今の仕事の2本立て。メールマガジンも早朝や夜中に書いたものです。今の方が時間があるのに何で2週間目の木曜日を忘れてしまったりするのかしら?緊張感の薄れ、記憶の薄れ、加齢!?まあ、いずれにしろこれからもずっとずっと続けて行きますのでお付き合いお願い致します。ルーシーの様にインスタグラムとかの方がわかりやすいのかも知れませんが、アナログ&活字好きな私ですからご勘弁を! そんな事言うとルーシーに「かあちゃんはアナログじゃなくてアナクロ!」と言われそう。アナクロは時代遅れや時代錯誤なんて辞書に書いてあるけど、古いものを大切にして暮すアンティーク屋のかあちゃんとしてはこれも良し!受け入れましょう!時代遅れ万歳!




◆ 次号予告 ◆

No.467 2021年5月20日 *夏の気配...